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「あの時の子が…お前なんだよなぁ…//」
「うん…//わたし…あれからキミの事を忘れた事はなかったよ?//」
「…雪華…。」
…悪い…俺は忘れてたよ…。
今の今まで…昔のお前の顔も、声も、アイデンティティーさえも…。
でも雪華は嬉しそうに…いや、実際喜びながら俺に抱きついてきた。
「これでやっと敦くんもわたしと同じ位置に立てたねっ♪」
「ははっ…そうだな…。」
(…“同じ位置”…か…でも…“同じ”…じゃないだろ…?雪華…、俺は“生者”…お前は“死者”…もっと早く思い出せば…いや…忘れなければ生前にもう一度会えたかも知れないのに…。)
喜ぶ雪華とは対照的に、俺は酷く自己嫌悪に陥っていた。
そんな俺に気付いた雪華は、心配そうに俺の顔を覗き込む。
「敦くん…?どうかしたの…??」
「あ…いや…。それより飯にしないか??大分遅くなっちまった。」
「…うんっ♪今日は唐揚げだよっ♪」
「唐揚げ…俺の好物じゃん!」
「えへへっ♪守護霊雪華さまには敦くんの好みはお見通しなのだーっ☆」
そう言って悪戯に笑う雪華は凄く可愛くて…
そして妹の影が重なった様にも見えた…
あぁ…雪華に感じた『守りたい』って気持ちは、もしかしたら…兄として守れなかった妹の分もあるのかもしれない…。
…そうだ…今度こそ…今度の今度こそ俺は守るんだ…!!
聖に強化してもらったお守りと、俺の力で!!
この“日常”を!!
―幽霊少女との生活二日目にして既に日常になりつつあるこの日々をこれからも続ける事を、俺は心に誓った。
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