駄弁りんぐ~出会い~

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―回想― 沙夕には友達がいない。 厳密に言えば、寄ってくる友達がいない。 そのため、いつも屋上へ逃げ込んでいた。 「…つまらない」 ぽつりと呟く。 学校とは勉学に励む所であり、同時に仲間とのコミュニケーションを図る場でもある。 しかしながら、沙夕に近寄る友達はいない。 …死んでやろうかとも考えた。 そうすれば、クラスの見方が変わるのでは? 「…父さんが怖いっての」 だが、そんなことをすれば、厳格な父親に何をされるか分かったものではない。 死ぬ勇気もなく、ただ呆然と過ごす日々…だった。 今、この瞬間まで。 勢いよく扉が開かれると同時に、 1人の少女が飛び込んでくる。 「うぅ…ぐすん…こうなったら、死んでやるぅ!」 何があったかは知らないが、少女は死のうとしていた。 目の前にいる沙夕を無視して。 「…死にたければ死ねばいい」 「はぇ…?」 突然の沙夕の発言に驚く少女。 「だが、死ぬのは…人の迷惑の掛からない所でやってくれ。 此処でやられては、私が迷惑する」 「もう死ぬしかないんだよ! さー君にフラれて…! 生きている意味なんて…!」 「そうやって逃げるのか?お前は」 「逃げる…?」 沙夕は自嘲気味に笑いながら、少女を見据えた。
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