星の屑箱

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授業の準備をしようと鞄から教科書を出しているとき、たまたま机に置いたペンケースが三人とも同じキャラクターのものだったのだ。 そのキャラクターはテリーというオレンジ色の熊のキャラクターで、私や沙耶が好きなのは理解出来るけど、なんで格までが同じペンケースを使っているのかは分からなかった。そしてそれをみた格が私に向かってこう言った。 「テリー可愛いよね?俺ずっと前から大好きでさぁ~」 恐る恐る見てみると、格はニコニコ笑っていた。その笑顔は外見からは想像できないほど可愛い笑顔で、それを見たとき見掛けほど恐い奴ではないのかもしれないと感じた。 「可愛いよね…。このリボンとか…。でも斉藤君がテリー好きだとは意外」 この頃は格のことを斉藤君と呼んでいた。今考えると吐き気がする。そして私たちの会話にさり気なく沙耶が割り込む。 「いや、その外見で有り得ないでしょ?テリーは引く」 この鋭い沙耶の指摘によって三人はいつの間にか意気投合してしまった。三人とも何故か妙に馬が合う。言葉を交わした時から、それまで私を取り囲んでいた両脇の壁が見事に砕け散っていた。 今考えれば、これが運命の出会いだったのかもしれない。
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