0人が本棚に入れています
本棚に追加
誰も居ない、夕方の学校。
その学校の教室に、教師である私は男子生徒と二人きり、向かいあっていた。
生徒の名は"狭山 椋(サヤマ ムク)"。
私の担当する三年D組の1人だ。
「・・・・もう、諦めて下さいよ」
彼は見つめる私から目を逸らし、絞り出す様に呟いた。
「俺は、先生の気持ちに応えれないよ」
狭山の瞳は揺らぎ、声は震えている。
その横顔に私の心臓はどくりと大きく鳴る。
私は、彼の肩を掴み、叫んだ。
「アっっフォかぁぁぁぁああ!!
今1月だぞ!?1月ぅう!
お前分かってんのか!!?
受験目前!
むしろ眼球にのめり込んでるっつの!!
なのになんでまだお前の進路は決まってねぇんだよぉお!!?」
鷲掴みにした狭山の肩を力の限り揺さぶる!
「ちょ、先せ、激し、優しくし「じゃかぁしぃわ!!
ばかちんがぁ!!」
ぺいっと狭山を離し、椅子にかけ、私は深く呼吸をする。
いかん、しっかりしろ自分。
奴のペースに乗せられ、今日まで進路決定が出来なかったのだ。
・・・・今日こそ決めねば!
私はキッと狭山を見据え、書類を取り出した。
「本来、これは生徒に見せないんだがな・・・見てみろ」
最初のコメントを投稿しよう!