彼氏たる者、恋人を深く愛していなければならない。

2/3
前へ
/3ページ
次へ
「ひのきぃぃぃぃ!!!」 ものすごい叫び声とともに、何者かが私に飛び掛かって来た。 「今日も可愛い!!おはよう」 「はいはい。おはよう。いい加減離して」 そう言って未だ私に張り付いて離れないその男の脚をつねった。 涙目になりながら私の後を犬のようについて来るそいつを見て、周りの女子からは黄色い声があがる。 「やっぱり幸田先輩カッコイイよね!」 「なんであの人なんだろう?」 毎朝の事なのでもう慣れたが、やはり胸がちくりと痛む。 この男、幸田雪。どういう訳か私を溺愛し、一応恋人という事になっているが、先程の出来事からもわかるようにかなりの美青年である。 かなり細身だが筋肉質で身長は175cmとちょうど良く、髪は染めている訳ではないが濃いめの茶色。色白で顔は女性でも十分やっていけるほどに綺麗という言葉が似合う。 そして、成績もかなり良い。私達が通う高校は、県内ではNo.1と言ってもいいくらいの進学校だが、入学当初から1桁以外の順位をとった事がない。 部活は調理部に所属していて、特にお菓子はパティシエ並みだが、スポーツも万能でよく助っ人によばれている。 1年生の頃から生徒会役員で、現在は副会長を務める。 成績優秀スポーツ万能眉目秀麗エトセトラ。 長所を挙げればキリがない完璧男だ。 完璧、といえば、彼はかなりの完璧主義者で、小さい頃から自分に厳しい目標を課し、それらを全てクリアしているからすごい。 しかし短所も挙げればキリがなく、人前でも平気で抱き着いたりキスしたりしてくる、すぐ寝る、裏表の顔がある等恐らく私しかしらない物も含めかなりある。 まぁ、良くも悪くも目立つ人間であり、実際ビックリするくらいモテる。 最近は私に対するあまりの溺愛ぶりに多少減ったが、一時期は毎日告白されるくらいの勢いだった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加