それでも時は流れて、八回目の立ち上がりを優しく促してくれる。

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「お前最近落ち込んでたからさ」 乾杯もせずに飲み始めたこいつは、 さらに言葉を重ねる。 「眠れない夜は何してる?とか、元カノと寄りを戻したことある?とかさぁ、俺だけじゃなく色んな人に話してたみたいじゃん?」 ・ ・・ ・・・ ・・・。 いまさらだが 何だか恥ずかしい。 「んで最近彼女とどうなのって聞くと、すぐ話題を変えてさ、分かりやすすぎるって一瀬は」 薄々どころじゃなかったか。 別れてから2ヶ月ちょい。 そりゃ気づくわな。 「俺はな、お前から直接聞きたかったんだけど、何故か中山先輩からこの話が耳に入ってねぇ~」 中山先輩・・・ 固く口止めしといたのに。 一個上の先輩。 野球部のマネージャーだった人 好きだった時もある。 おおらかで、面倒見のいい人だ お互い卒業してからも 家が近かったせいか よく顔を合わせていた。 んで、恋愛相談のオンパレード 「中山先輩ってさ、今彼氏いないらしいよ」 俺のとっておきの情報だ。 高校時代から付き合っていた彼氏と最近別れたらしい。 高校時代へのピリオド。 そう言っていた。 「うわ~、岡山先輩と別れたんだ~・・・それは初耳だわ」 「狙ってみれば?」 「無理無理無理無理!」 「何でよ?」 「中山先輩は、いつまでも憧れで居て欲しいの、分かる?」 う~ん、自由な発想だ。
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