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「あの・・・こんにちわ！」
「あ、いらっしゃいませ～！」
最初は客かと思った。
振り返ると
若い女一人。
まさか担当変わりの挨拶に来たとは微塵も思わなかった。
転勤時期ではない担当変わり。
しかも女一人。
最低でも２人で来る。
前任と新任でだ。
「今度からお世話になります、○○メーカーの唐沢と申します！」
「・・・？」
おぼつかない手つきで、名刺が俺に向かって差し出される。
「あ、あぁ、あれ？谷山さんは？」
前任の名前だ。
「課長といざこざがありまして・・・」
あはは。
普通内部事情を、とある電気屋店員に話すか？
「引継ぎ無しでやめちゃったんだ。」
「はい～・・・私も内勤からいきなり営業に回されちゃって・・・」
そりゃ大変だなぁ。
そんな人事聞いたこと無い。
ここのメーカーは
あんまりシェアは無いし、
人手不足なんだろう。
「あ、これ僕の名刺です」
少しのタイムラグの後、
名刺交換が終わる。
「一瀬さんて言うんですね」
「うん、一瀬祐介です」
「唐沢めぐみって言います、これからよろしくお願いします！」
「ははは、そんなに意気込まなくていいよ」
きっと何もかも初めてなんだろう。
気合の空回りか。
俺も新人の頃良くあったなぁ。
しみじみと思い出す。
「あの・・・」
唐沢さんが言う。
「ん、ああ何？」
ふと我に返った。
「早速新製品の説明なんですが～！」
あはは。
そうがっつくなって。
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