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豊橋明近は午前7時に到着した。と言っても当然体育館は開いておらず鍵を手に入れる統べも分からない豊橋明近のやることは一つだった。
アップである。
真冬にランパンにTシャツのみと言う服装の豊橋明近の身体は既に死後硬直のように固まっている。
だが豊橋明近はここから身体を動かそうとは思わなかった。
深呼吸そして血液流動の促進。
全身の血液が空気を吸うのと同時に心臓に集まるイメージを浮かべる。
そして吐くのと同時に血液を一気に流す。
それを繰り返す。
血液の流動を早めることにより、身体を内から温めてゆく。
この発汗法は古来より山伏が修行の為、冬の極寒の山頂にて体温を下げないようにしていたのが始まりであり
豊橋明近流のアップである。
一時間後の山川丸美が到着した時には既に身体の汗がしたたり落ち地面を濡らしていた。
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