一、春

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「あんた今異常なくらいアドレナリン出てたよ」 山川丸美は脈動が正常になった左手を離すと、直ぐに人差し指と親指で右目を瞼をこじ開けて見た。瞳孔も正常もう出てないか?。 「えっ……? アドレナリンって何?」 すっとんきょうな表情をする豊橋明近に山川丸美は、変なところで中学生だな。と感慨深く思った。 「そうか……、あんた中学生だったね」 「自分が理解しない内に露骨に呆れられると、流石にムカッと来る物が」 と豊橋明近は眉をしかめて口角を片方だけあげる。 「あんた何して汗かいた?」 「少し長くなるんすけど?」 「構わないよ。いや、先に体育館に入ろうか」 「鍵は?」 「もう借りてきた」 そう言った山川丸美の人差し指には鍵がぶらさがっていた。
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