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「丸さん」
これで七つ目の案、さすがに決らなさに腹が立ってきた男は乱暴に言い放った。
「うん、ちょっと安易だけど。それでいいよ」
その言葉に男は安堵の表情を見せ、溜息を女にバレないように静かに吐いた。
突然女の鞄から松山千春の大空と大地の中で のメロディが流れた。
女は電話だと呟いて隅に置いてあった鞄に歩み寄り、携帯電話を手に取った。
「はい、山川です」
と女は出た。そして少し会話した後、通話を切った。
会話の最後に、分かったすぐ行くね。と言っていたので用事が出来たのだろうと男は察した。
「ごめん、用事出来ちゃった」
「そうすか、なら今日は帰ります」
と男は素直に応じたものの、内心は苦念で一杯であり、結局1ON1しただけか。と呟いて身支度を始めた。
「あ、明近くん電話番号教えて」
と女は思い出したかのように言った。
男はすかさず、逆ナンすか。と冗談を漏らした。
そして内心はあだ名を使わなかった女に対して、ならあの時間はいらなかったんじゃないか?もっと練習出来たんじゃないか?。と深く考えるようになった。
「0805555――」
「あ、連番? 凄いね」
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