一、春

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「丸さん」 これで七つ目の案、さすがに決らなさに腹が立ってきた男は乱暴に言い放った。 「うん、ちょっと安易だけど。それでいいよ」 その言葉に男は安堵の表情を見せ、溜息を女にバレないように静かに吐いた。 突然女の鞄から松山千春の大空と大地の中で のメロディが流れた。 女は電話だと呟いて隅に置いてあった鞄に歩み寄り、携帯電話を手に取った。 「はい、山川です」 と女は出た。そして少し会話した後、通話を切った。 会話の最後に、分かったすぐ行くね。と言っていたので用事が出来たのだろうと男は察した。 「ごめん、用事出来ちゃった」 「そうすか、なら今日は帰ります」 と男は素直に応じたものの、内心は苦念で一杯であり、結局1ON1しただけか。と呟いて身支度を始めた。 「あ、明近くん電話番号教えて」 と女は思い出したかのように言った。 男はすかさず、逆ナンすか。と冗談を漏らした。 そして内心はあだ名を使わなかった女に対して、ならあの時間はいらなかったんじゃないか?もっと練習出来たんじゃないか?。と深く考えるようになった。 「0805555――」 「あ、連番? 凄いね」
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