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「あ、ここよここ!」
半ば引きずられるようにして、沙織は怪しげな建物の前へと連れてこられた。
「占いの館、ね……」
なんのひねりもない名前だ。
とはいえ、変にこった名前をつけるよりは、分かりやすいことは間違いない。
ガラス戸に貼られた、水晶やタロットカードなどの透かし模様もまた、いかにもという雰囲気を作り出している。
「ここ、良く当たるって評判の占い師が集まってるんだって」
「へえ」
友人の貴代美は我が事のように嬉しそうだが、沙織にとっては何の意味もない。
占いなんて、嘘だ。
だって、あの日の朝、テレビで一番ラッキーだと言われた星座を持つ父は、その直後に交通事故に遭い、死んでしまったのだから。
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