占い師と娘と使い魔(仮)と

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. 「占ってもらいたいんでしょ?」 「うん……」 「だったら、さっさとして。わざわざこんなとこまで来て、何もしないで帰るなんて時間の無駄だし」  占ってもらう時間もお金も無駄だと思うが、それで貴代美の気がすむなら、変に遊びまわるよりは安くすむだろう。  ……ぼったくりにさえ気をつければ。 「入るわよ」 「あ、うん……」  さっさと自動ドアに向かう沙織に、貴代美もあわててついて行った。 「うわー」 「……」  これもやはり、雰囲気作りのためだろう。  中は薄暗い、とまではいかないが、少し暗い。  奥行きの長いビルの作りを活かすためか、長い通路が1本あり、その真ん中に……建物の真ん中でもあるが、そこに背もたれのない椅子が並べられている。  そしてその両脇に、壁で仕切られた小さなスペースが連なっていた。  そこに、占い師がいる、というわけか。 .
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