14人が本棚に入れています
本棚に追加
.
「誰にするの?」
「あ……」
各スペースを飾り立てるごてごてした装飾品に飲まれたのか、貴代美はおどおどと辺りを見回していた。
「ごめん。まさか、こんなに多いと思ってなかったから……」
「決めてなかったの?」
「だから、知らなかったんだってば」
開き直ったような貴代美に、沙織は深くため息を吐く。
いつも、そうだ。
貴代美は、あまり物事を考えずに動く。
自身もそうだから、腹を立てたりはしないが、人を巻き込むときぐらい、少しは考えてほしい、とは思う。
「ごめん……」
「だから、いいって」
そして、悪いと思ったときにすぐに謝れるのは、貴代美の良いところだとも思う。
沙織には、決してできないことだから、その素直さは羨ましいと思うことさえある。
……本人には、絶対に言いはしないけれど。
.
最初のコメントを投稿しよう!