占い師と娘と使い魔(仮)と

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. 「誰にするの?」 「あ……」  各スペースを飾り立てるごてごてした装飾品に飲まれたのか、貴代美はおどおどと辺りを見回していた。 「ごめん。まさか、こんなに多いと思ってなかったから……」 「決めてなかったの?」 「だから、知らなかったんだってば」  開き直ったような貴代美に、沙織は深くため息を吐く。  いつも、そうだ。  貴代美は、あまり物事を考えずに動く。  自身もそうだから、腹を立てたりはしないが、人を巻き込むときぐらい、少しは考えてほしい、とは思う。 「ごめん……」 「だから、いいって」  そして、悪いと思ったときにすぐに謝れるのは、貴代美の良いところだとも思う。  沙織には、決してできないことだから、その素直さは羨ましいと思うことさえある。  ……本人には、絶対に言いはしないけれど。 .
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