占い師と娘と使い魔(仮)と

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. 「とりあえず、一回りしてみよう? 占い師とか占い方法とか、説明書きがあるから、それ見て決めたら?」 「うん……そうよね、そうした方がいいよね」  まるで、ランチのメニューを決めるようだと、沙織は思う。  そう考えたら、少し気が楽になった。 「よし。じゃあ、こっちから」 「うん」  近い方の通路から、見て回ることにした。  といっても、片側にスペースは10ほどしかなく、中には「準備中」の札もある。  営業中……と言っていいのかは分からないが、とにかく今、占いをしているのは、全部で15程度か。  どこも、1人か2人は順番待ちをしていて、中には数人がスペース前と、通路の椅子とに別れて並んでいるところもあった。  思い詰めたような顔をした人もいれば、沙織のように、占いなんて信じていない、という風な人もいる。  流行りの店に行くのと同じような感覚でいるのだろう、きゃあきゃあ騒ぎ立てている女子学生もいた。  それを見た沙織は、わずかに顔をしかめたが、他の人からすれば自分たちも彼女たちと同じように見えるのだろうと思うと、帰りたくなってくる。 .
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