占い師と娘と使い魔(仮)と

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. 「なんか、いろいろだね」 「うん。あれって、八卦とかいうヤツかな」  沙織は、客のことを言ったのだが、貴代美は占う方法を紹介した張り紙を見ていた。  ……そっか。貴代美は占ってもらいたくて、来たんだもんね。  貴代美が、沙織のことを思って誘ってくれたことは分かっている。  もし立場が逆だったとしたら、こんな風に気遣うことができたかどうか、分からない。  まあ、私は別に、落ち込んだりしてるわけじゃないけどね。  そうだとしても、その友情に応えるのも、また友情だろう。  沙織も、客から占い師の説明の方に視線を移した。  しかし、タロットや水晶玉、占星術、手相、人相ぐらいなら想像はつくが、線香占いなどは見当もつかない。  いったいどうやって占うのか、違う意味での興味はあったが、それを確かめるだめだけに相談料を払うのもばかばかしい。  ……そういえば、いくらなのか、書いてないわね。  見料いくらとか、相談料いくらとか、普通なら書いてありそうなのに、どこにも見あたらない。 .
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