ー小さな水滴がー

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ー小さな水滴がー

雨降る夜が過ぎ、水滴があちこちにできました。 さんさん照りの太陽に包み込まれるように、ほとんどの水滴は青空に帰って行く中、木陰に少し大きな水滴と小さな水滴がいました。 それは母と子でした。 母は自分もいずれ太陽の動きと共に青空に帰っていくことを知っていました。しかし、我が子が太陽の動きが変わっても空に帰れない影にいることを知っていたのです。 そこで母は子に最後に、こう語りかけました。 「私の愛しい愛しい子、お母さんは青空に帰るわ。貴方とお別れすることになるの。」 優しく、穏やかに母は語りかけました。 「どうして?僕も一緒に帰りたいよ。そんなのやだよ。」 子は泣きました。しかし、水滴だったので涙を流しても、ほんの小さく揺れるだけでした。 「お聞き、貴方は大地(ここ)で生きていくのよ。寂しく、暗いだろうけど、耐えるの。大丈夫よ。貴方は強い子だもの。」 そう言葉で抱きしめ、母はゆっくりと青空に帰って行きました。 子は「母さん、母さん」と泣きながら、ただただそれを見ているしかありませんでした。
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