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『明里…もし私が新撰組の総長じゃなくなると言っても一緒になってくれるか?』
『敬助様…?何を言ってはるん?ウチは新撰組の総長を好きになったんやあらへん山南敬助に惚れたんや。新撰組になんて居たら命がなんぼあっても足らへんわ。辞めてしまえるんやったらすぐにもやめてしまいなんし!』
少し怒った白い頬にふれて礼の言葉を告げる
私のような男に惚れたと この美しい唇が繰り返し紡ぐのが嬉しくて何度この質問を明里にしただろう
あの晩ありったけの金を持って明里を訪ねた
『あれ、嬉しい。どないしはったんですか?明日は非番やないはずやのに』
明里はニコニコと嬉しくて仕方ない顔をした。
『明里。俺はくだらない男かもしれん。明日新撰組の屯所を出る。もしお前が…』
いいかけた俺にしがみついて明里が言った
『もし…って、なんですのん?敬助様が行くなら明里は一緒に決まってるやないの!! 敬助様?まさか置いてきぼりやないでっしゃろなぁ?』
敵わない。
明里は私の言いたいけれども言えない言葉を全て言葉にしてくれた
『馬鹿を言うな。こんなにいとおしい者を置いてなど行けるか。一緒にこい。明里。』
女連れの脱走など土方くんが聞いたら目を吊り上げるだろうな
志村くんは寂しいと言ってくれるかな
佐之助は斬れ、斬れ!!と騒ぐ
平助と新八は驚いて、でも豪快に笑うだろう
きっと総司は嫌味の1つでも言ってお得意の斬りますよ、だ
近藤さんは………………
胸の熱くなるのを掻き消しながら
なぜこんな事になったのかとふと思ったがすぐに立ち消えた
私の仕事は新撰組にはもうない
ないのだ
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