序章

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2010年の夏は猛暑と言われた時だった。 街の至る所から蝉がけたたましく鳴り響き、アスファルトからはじりじりと蜃気楼が立ち始めている。 空気はむせ返るぐらいに湿気だった熱気に包まれていて、立っているだけでも汗が吹き出る位だ。 上下ベージュの作業着が既に汗でずぶ濡れになった三笠は導管部隊が掘ってくれた1.5mくらいの穴の中で、既に切断されてる配管の直径20㎝ガス管の口元に大きな木製の平蓋で栓をしてある状態で1時間以上ひたすら待ち続けている。 足元は切断されたガス管から流れ出て来ていたと思われる水で土がぬかるんで履いている安全靴は既に泥だらけの状態だ。
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