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月明かりだけが頼りの、暗がりの細道。
そこを走っているであろう足音が、静まり返った町に響く。
……その足音の主を追う者の足音も聞こえる。
1つ、2つ……足音がだんだんと増えていく。
『待ちやがれ!』
複数の足音の中から、怒鳴るように言う者が一人。
『待って欲しいの?…待ってあげようか?』
そう言うと、その人物は立ち止まり、自分を追いかけている者達の方へ振り返る。
追う者からすれば、立ち止まってくれるのは有り難い事なのだが、相手の物言いが上から目線な為、嬉しくない。
………むしろ、腹立たしい。
『そのふざけた狐の面の下……拝ませて貰う!』
『君達には、まだ無理だよ』
『貴様っ!我々を愚弄する気かっ!!』
『無礼者めっ……ただで帰れると思うな!貴様の命で償って貰う!!』
そう言って、男達は刀を抜き、構えた。
『へ~ぇ。殺る気……満々だね。ィィよ、楽しませてね』
と、言い、男達と同じように、刀を構える。
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