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音がしてから数十秒後に,担架を持った救急隊員が体育館の入り口に現れキク乃の姿を見つける。
「あなたがケガ人ですね!?その場から動かないで下さい!」
救急隊員の1人が大真面目な顔で間違えた!
「ちっがーーーう!!!!ケガ人,こっちィィィ!!」
キク乃が体育館に響く大きな声で横で倒れている…いや,寝ている男性を強く指差す。
それを聞いて,声をかけてきた救急隊員が一瞬,顔を赤らめたが無言でステージに上がる。
「持ち上げます…1・2・3!!」
タイミングを合わせて男性を持ち上げると,担架に乗せ,ゆっくりとステージの階段から下りた!
そして,足早に体育館を出ると救急車に押し入れサイレンを鳴らし姿を消す。
…それと同時に,今度は別にサイレンが聞こえて来た。
現場を探索しようとしていたが,キク乃は聞いた途端に冷や汗をかく!
「……やっばっ!!!これパトカーのサイレンじゃん…まさか,鳴澤が呼んだの?」
もし,鳴澤が呼んだのであれば最悪のタイミングだ!
警察は,キク乃にとって苦手な存在である。
理由は2つ。
警察に事情を聞かれ,いちいち説明するのが面倒くさい!
そして,キク乃が気に入らない<あの>単語を言われるから。
…<あの>単語とは,世間で知らない人はいないんじゃないかと思うほど有名な呼び名である。
「とにかく,話をするのは面倒くさいから早く逃げなきゃ…」
バァァァン。
…遅かった…
キク乃が逃げるよりも早く警官達が入って来たのだ!
「…現場はここか。」
警部らしき人物が,つぶやくと,その後部下達が迅速に動き出す!
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