第8話 転入生:鳴澤 多久也(ナルサワ タクヤ)

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6月下旬頃に行った肝試し大会もなんとか終結し,いつの間にか暑さが広がる7月に入っていた… 誰もがジリジリと暑くなるこの季節に,文句を言わずにはいられない! その中に,長い黒髪を後ろに高く結んだキク乃もいた。 「だるっ!!学校休みたい…。」 「そんな事でぼやけないのっ!さっさと学校行きなさい!!」 キク乃のぼやきに対して雪白は,目を吊り上げながら言う。 …さすがに,キク乃も反論する事は出来なかった。 キク乃がだるくなった理由は,たった1つ。 世間から"名探偵少女キク"とあちこちで騒ぎ立てられ,たまに新聞に出ることも増えたのだ! …しかも,本人の承諾なく誰かが意図的に情報を売っているらしい。 1度「伊藤じゃないか?」と疑って聞いてみたが,予想外な事にやっていないと言うのである。 入学式の時以外は,全て情報を秘密裏に保管にしていると言っていた。 「…今,考えても仕方ないかっ!じゃっ!!行って来ます!!」 しょるタイプの学校用カバンを手に玄関を出た。 ガチャ。 『探偵少女キクさんですか!?何か一言!!!』 報道陣の山。 大量のカメラのフラッシュ。 「……。」 あまりにも言いたいことが多すぎて一瞬言葉が止まる…そして。 「邪魔だァァァァァ!!!」 その一言で,報道陣の波が見事に真っ二つに割れ道ができた… イライラしながら学校に着いたキク乃は,靴箱を開けシューズを取り出す。 バサッバサバサバサッ。 「…っ!」 今度は,大量のラブレターが山のように落ちキク乃の不機嫌度が100%を超えた! バタンッ!!!!! 荒々しく扉を閉めて階段を上り始めた… 階段を上っていると,キク乃の姿を見つけた沼田兄弟が後ろから話しかける! 「「鈴さっ…!!」」 「今,話しかけるな…機嫌悪ぃんだよ…。」 「「えっ!?」」 キク乃の変わりように沼田兄弟が驚く! 言葉遣いだけではなく表情や顔つきまで変化しているのだ。 一瞬誰だかわからないくらいに… 沼田兄弟の表情がみるみる変化している事に気づいて,キク乃も急速に我に返った!
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