12人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
6月下旬頃に行った肝試し大会もなんとか終結し,いつの間にか暑さが広がる7月に入っていた…
誰もがジリジリと暑くなるこの季節に,文句を言わずにはいられない!
その中に,長い黒髪を後ろに高く結んだキク乃もいた。
「だるっ!!学校休みたい…。」
「そんな事でぼやけないのっ!さっさと学校行きなさい!!」
キク乃のぼやきに対して雪白は,目を吊り上げながら言う。
…さすがに,キク乃も反論する事は出来なかった。
キク乃がだるくなった理由は,たった1つ。
世間から"名探偵少女キク"とあちこちで騒ぎ立てられ,たまに新聞に出ることも増えたのだ!
…しかも,本人の承諾なく誰かが意図的に情報を売っているらしい。
1度「伊藤じゃないか?」と疑って聞いてみたが,予想外な事にやっていないと言うのである。
入学式の時以外は,全て情報を秘密裏に保管にしていると言っていた。
「…今,考えても仕方ないかっ!じゃっ!!行って来ます!!」
しょるタイプの学校用カバンを手に玄関を出た。
ガチャ。
『探偵少女キクさんですか!?何か一言!!!』
報道陣の山。
大量のカメラのフラッシュ。
「……。」
あまりにも言いたいことが多すぎて一瞬言葉が止まる…そして。
「邪魔だァァァァァ!!!」
その一言で,報道陣の波が見事に真っ二つに割れ道ができた…
イライラしながら学校に着いたキク乃は,靴箱を開けシューズを取り出す。
バサッバサバサバサッ。
「…っ!」
今度は,大量のラブレターが山のように落ちキク乃の不機嫌度が100%を超えた!
バタンッ!!!!!
荒々しく扉を閉めて階段を上り始めた…
階段を上っていると,キク乃の姿を見つけた沼田兄弟が後ろから話しかける!
「「鈴さっ…!!」」
「今,話しかけるな…機嫌悪ぃんだよ…。」
「「えっ!?」」
キク乃の変わりように沼田兄弟が驚く!
言葉遣いだけではなく表情や顔つきまで変化しているのだ。
一瞬誰だかわからないくらいに…
沼田兄弟の表情がみるみる変化している事に気づいて,キク乃も急速に我に返った!
最初のコメントを投稿しよう!