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「…今日は話しかけないでくれない?」
笑顔で頼んでいるキク乃だが,先ほどのキク乃の姿を思い出すと冷たい笑顔に見えた!
「「…はっはい。」」
沼田兄弟は,すごすごとキク乃から離れた。
キク乃は2人を見送ってから深々とため息をつく。
…いつの間にか表情がキツくなっていたらしく,沼田兄弟に怖がられたらしい。
キク乃自身これっぽっちも冷たい態度をとったつもりはなかったのだが,腹が立っているのは本当である。
「…今日は,表情に気をつけないとヤバいな。」
…言葉遣いが変わっている事も知らずキク乃は,教室に向かう!
その後ろ姿を影から見送っていた学生服の金髪少年は,小さくつぶやいた…
「あれが噂の探偵"鈴キク乃"。」
教室につき自分の席に座ったキク乃は,無言のまま鞄から教科書を取り出す。
…さすがに,キク乃の得体の知れない雰囲気に羽音でさえ話しかける事をためらう!
授業の時間になって,担任教師がドアを開けて入ってきた。
後ろには,前髪をクロスさせた金髪の美少年が一緒に入ってくる!
その瞬間,クラスのほとんどの女子生徒が叫び始めた…
『キャ~~!!!超イケメンじゃない!?』
「…うるさい。」
イケメンが目の前にいたとしても興味がないキク乃は,逆に不機嫌度の増した顔になっていた。
「全員静かに!今から転入生を紹介する。」
先生に促された美少年は,爽やかな笑顔で名前を述べる!
「高紗中(タカサ)から来ました!鳴澤 多久也(ナルサワ タクヤ)と言います。皆さん今日からよろしくお願いします♪」
「鳴澤は,両親の都合で転入して来ました。皆さん仲良くして下さいね。」
先生の言葉にほぼ女子が甘い声で返す。
「は~い!!!」
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