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「…席は…」
先生が辺りを見渡す。
それにあわせ目をハートにさせた女子達が顔まで紅潮させて,先生の次のセリフを待つ!
キク乃は,その様子に頬杖しながらため息をついていた。
そして,一瞬顔をあげた時先生と目線がかち合う!
「……えっ?」
「じゃあ,鳴澤の席は鈴の隣りね!…わからないことがあれば聞いてみるといい。」
そのセリフを聞いてクラス全体がどよめく。
…その内の半分は,鳴澤に対して好感度を持っていた女子達で今,突然背中に針が刺さるような鋭い視線がキク乃に集中する!
「…うっわぁサイアク。」
キク乃が小さくつぶやく。さすがに,この状況で転入生を傷つけたら後々シャレにならない事態に陥る!
女子達の猛攻撃がキク乃を襲うだろう。
それは願い下げだ!!
頭の中で様々な憶測を作っていると,いつの間にかすぐ近くに鳴澤が立っていた。
…爽やかな笑顔。
「よろしく鈴さん!!」
「よろしく…鳴澤…君。」
ぎこちないやり取りの中,四方八方から飛んでくる目線を身をもって実感する…
(…早くこの時間が過ぎて欲しい)
頭を悩ませるキク乃。
…だが,不幸はそれだけではなかった…
「先生。まだ,学校に馴れていないので学校案内して欲しいんですが…。」
鳴澤がしっかりと手を挙げ意見を述べる!
その意見に先生は,1つ返事でOKした。
「うん!!いいよ。」
『先生軽っ!!!!』
クラス全体が心の内でつっこむ!
「それで案内人は,鈴。お前に任せる!…さっ,他は授業やります。」
(本人の意見は無視ですかァァァァ!!)
…心の叫びは,誰にも届くことがなく儚く散る。
未だになくなる事がない …それどころか,さらに膨れ上がった視線を背中で浴びつつキク乃は立ち上がった!
こんな事で折れてしまう神経は,あいにくキク乃は持ち合わせちゃいない!!
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