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「お望み通り案内するから私について来て!」
キク乃が席から離れ教室のドア近くに向かったので,鳴澤も後を追っていく!
教室から出た2人は,互いに向き合っていた。
…理由は,全くわからないが体が勝手に動いていたのである。
「…君が噂で有名な"鈴キク乃"?」
「有名かは知らないけど私が鈴である事は事実だよ!!」
「そうか…突然で悪いけど屋上に案内してくれない?ちょっと,話しておきたい事があるんだ。」
「ホント唐突だね…。」
キク乃が微笑しながら言ったが,特に反論する事もなく歩みを進めた。
鳴澤は,無言のまま歩いているキク乃の後を追った!
-屋上-
ガチャ。
ドアを開けた途端に,吹きさらしの風が2人を襲うが気にもせず白いタイルの上を踏みしめる!
キク乃が"七不思議"解明に来たときは,辺りは暗くみる暇もなかったので少し新鮮な感じだ。
そんな中,鳴澤が話し出す!
「…やっと会えたな…"姉貴"!!」
その一言が時を止めた。
「………………はいっ!?」
長い沈黙の後,キク乃が問う!!
いきなりなんだこいつは?という心境だ。
…まず,姉弟がいることが信じられず鳴澤がスッゴい真面目な顔で言っているので嘘と判断出来ない。
今の母親:雪白は,同じ"鈴家"の人間であるがキク乃と実際の血の繋がりはないので多分違うだろう。
…では,一体誰だ?
「何を言ってるのかさっぱりなんだけど…。」
鳴澤が笑う!
「あははっ!それもそうだ…俺の母親は,姉貴と…」
「ちょっと待て!姉貴って言うのは,カンベン。同年代なんだから普通に頼む!!」
キク乃がキッチリと断ると,鳴澤はしょうがなくやめる。
「俺の母親は,お前と同じ人だ!…違うのは,俺の父親が鳴澤であるだけ。」
さすがのキク乃も予想外な事態を呑み込むのに数分を要した!
「…それで,母親の名は?」
「知らん。」
「って即答!?…いや,それ以前に結局知らないんかいィィィ!!!」
キク乃がツッコむ。
だが,鳴澤も負けず劣らず返す!
「しっ知らねぇもん知らねぇんだよ!!子供が親の下の名前で呼ぶか!」
鳴澤のキャラが爽やかキャラからどんどん遠ざかってゆく!
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