12人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
キク乃について来ただけの沼田兄弟も,半ば強制的に参加させられてはいるが若干,楽しそうにも見えた!
キク乃は,モップでただっ広い床を何往復もし,鳴澤は本格的に頭に三角巾を被って窓拭きをしている。
…1人だけ,他の人より超真面目だ!
沼田兄弟は,キク乃と同じようにモップがけをやっているが少しのズレもなく隙間もないほどキレイに掃除していた。
その光景を見ながら,キク乃はため息をつく。
…この調子で掃除が終われば,5時前に帰れる可能性が高い!
今日は,見たい番組があったのでキク乃も普段好きじゃない掃除をテキパキとこなす。
「…でも,こういう時に限って何かが起こるんだよなぁ~。」
そう。
キク乃が早く帰りたい時に,いつも事件やアクシデントに遭遇してしまうのだ!
…特に夕方頃。
「考えても意味ないんだけどね…」
-そして,体育館掃除は予定よりも早く終わった-
2年生の掃除メンバーのリーダーが,全員を集め掃除終了のあいさつを言う。
「今日はお疲れ様でした!!それじゃあ解散!」
『ご苦労様でした!!』
全員であいさつを言い,人それぞれ,体育館を出て行く。
キク乃・鳴澤・沼田兄弟も軽くお喋りをしながら体育館を出た!
…内心で,何か起こるんじゃないかと緊張していたが体育館から出てしまえば何も起きないだろう。
「じゃあ,早く家に帰っ…」
ドガァァァァンッ!!!!
「きゃァァ~!!!!!」
『!?』
全員が一斉に声がした方に振り向く!
「やっぱり予想通り,事件発生したァァ!!!!」
キク乃は,そう叫びながら今来た道を引き返す。
先ほどの悲鳴は,1年生の女子で震えた手でステージを指差しながらペタリと座り込む!
キク乃は,全力疾走でステージに近づくと真ん中にある階段を上る。
そして,床には……1人の男性がうつ伏せに倒れていた。
「………。」
キク乃は,無言のまま男性の首筋に手を押し当て脈を確かめる。
その間に鳴澤や沼田兄弟,2年生の男子がステージに上がって来た!
「…キク乃。脈は?」
「しっかりしてる…ただ,一応救急車を呼んだ方が安全ね。」
最初のコメントを投稿しよう!