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話を聞いた鳴澤は,数秒考えてから走り出す!
「キク乃!俺が救急車を呼ぶから,現場を頼む!!」
「とりあえず救急車が来るまではね。」
キク乃の了解を得て鳴澤は,体育館を出て行く。
残ったキク乃は,1度うつ伏せ状態から仰向けにするために近くにいる生徒を遠ざける。
…このままうつ伏せ状態にしておくと,例え生きていても心臓が圧迫されて何が起こるか分からないからだ!
「はぁ~い皆さん!グロテスクな映像,記憶に残したくないかたはここから離れて下さい♪」
キク乃が笑顔で言うと,1人の先輩が疑いの目でキク乃を見つめる…
「…生徒が,いじるような現場ではないわ!」
先輩がキツい表情でキク乃に言うが,キク乃自身には全くと言っていいほど効いていない。
「…確かにそうですけど,このままじゃ私達の目の前で……死んじゃいますよ?」
キク乃は,変わらず笑顔で言う!
さすがに,この状況でのキク乃の笑顔に寒いものを感じた生徒達は,一歩足をひいた。
…さっきまで強気でいたハズの先輩まで焦りの表情を見せる!
「…わかってくれたようで。じゃあ,後ろを向いてそのまま体育館を出て下さい。」
キク乃が静かに言うと,1年生・2年生関係なくステージを下りて出口に向かって行った。
それを確かめてキク乃は,小さくため息をついて男性を横に転がす。
男性は,額に血を流しているがさほどひどくはなかった。
年齢は,30歳後半。
髪色が茶色く,所々が跳ねている…
黒いスーツ姿で額から出血している事以外,目立った外傷はない。
「…ってか,この人寝てるんだけどォォ!!!一体誰なの!?」
この学校の教師ではないようだし,見てもわかるが生徒でももちろんない!
…じゃあ,誰?
「なんでいつも事件に巻き込まれちゃうんだろう…ホント怖いわぁ~。」
ぶつぶつ文句を言っていると,急に救急車の音が聞こえて来た。
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