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林田信広は、自分がすむアパートから近い公園のベンチに座り、空を眺めていた。
「今日も神は俺をみすてたのか。」
実は、半年前、二年間付き合っていた彼女と別れ、三ヶ月前、父親が肺ガンで他界し、そして今日、五年前から勤めていた会社をクビになったのだった。
そう、林田信広には不運ばかりおとずれていた。
長い間、空を眺めていたが、何かを思いついたように立ち上がった。
「もういいや。死のう。」
午前二時、林田信広は、アパートの屋上にいた。
「母さんには、悪いが、こんな人生はもうたくさんだ。今まで育ててくれてありがとう。」
飛び降りようと、足を前に出したその時、
「脳を買いませか?」
と聞こえた。
後ろを振り返ると、黒いスーツを着た老人がこちらを見ていた
た。
(2へ続く)
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