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君に出逢ってしまった
あの時から
全ては色を変えていった。
*****
エリオットは分からなかった。
何故自分があの時森に出ていったのか。
ただ空虚だった筈の心が
どうしようもなく苦しくて
吐き出す様に駆け出して
そしてそこで、彼女に出逢ってしまった。
最初は意味の分からない言葉を発する得体の知れない娘だと思った。
けれど、その言葉の一つ一つが、痛いほどに心を揺さぶって、
名前も知らない、泣きたいような苦しいような
けれど温かい感情が胸をせしめた。
優しく優しく笑う人。
鈴のような声で
痛みを和らげる言葉を紡ぐ
今を生きる、人間の少女。
それが彼女の印象だった。
エリオットは分からなかった。
どうして自分が今も
昨日と同じ黄昏時
同じ場所で
彼女を待ち続けているのか。
彼にはその理由が分からなかった。
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