朝は夢から覚めて

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・・・そう、何を隠そう(いや実際隠しているが)この方はおれの学校の担任であり そしてこのおれの 『恋人』である。 犯罪? いや!犯罪は先生のほうなんだからね!! 補足しておくとおれは別に寝坊したわけではなく、ただ単に教師の出勤が学生の登校より早いだけである。 簡単な話横暴なだけである。 「夕月君、遅刻してしまいます(私が)」 「少し急ぎましょう」 スッとさりげなく手を引っ張ろうとしてくるがこちらもスッとさりげなくかわす。 スッ、スッ、スッ、スッ、スッ、スッ、スッ、スッ、スッ このやり取りをしながらすでに半分まできてしまったことに気付いた頃ようやく 「・・・夕月君」 「なんでしょう先生」 「なんでしょう先生ではありません」 「なんでしょう先生ではありませんではありません先生」 「だめです。そんなホッペに指を当てて少し首を傾げて『はて?』みたいな可愛い顔してもダメですなんて言うやつはここに連れてこーーい!!」 「好きだー!!」 にやにや ハッ ぐぅぅ 「まぁいいです」 「私のことを考えてくれていたのは判っていますし、逆にホイホイ手を繋ぐようなアホだとは思っていませんよ」 「このオブラート腰抜けが」 「おーい!つ・つ・ん・で・ない!おれは優しさというオブラートで腰抜けを包んでない!」 「大丈夫よ、夕月君が売りにしているオブラートなんて所詮カプセルが開発されるまでのもはや旧時代の遺物なんですから」 「オブラートのお陰でどんだけの子供が当時苦い思いをしなくてすんだかわかってんのか!?」 「それ以前に売りにしてすらいねーよ!」 「けどやっぱりオブラートは必要だと思います! 」 「夕月君」 「はい?」 「そろそろ学校が近いんですから静かになさい」 ムッ、なんだこの無駄な敗北感は
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