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何だよ的な顔をしながら、聡が腕を押さえて会場へと戻った後…、
沙織は未だ目を見開いたまま、微動だに出来ずに佇んでいた。
「……沙織…」
久し振りに聞いたその穏やかな声は、ずっと聞きたいと思っていた声だった。
今、目の前に居る優しい笑みを浮かべたこの人は、ずっとずっと逢いたかった…、
「……啓輔…!」
沙織はその胸に飛び込んだ。
優しく強く抱き締めるその腕は、変わらずに沙織を包み込む。
その温もりも、心音も、夢じゃないと教えてくれる。
互いに言葉にならなくて…、
暫くの間、その存在を確認するかのように、ただしっかりと抱き合う事しか出来なかった。
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