そして、幸せな未来へ

11/37
前へ
/736ページ
次へ
何だよ的な顔をしながら、聡が腕を押さえて会場へと戻った後…、 沙織は未だ目を見開いたまま、微動だに出来ずに佇んでいた。 「……沙織…」 久し振りに聞いたその穏やかな声は、ずっと聞きたいと思っていた声だった。 今、目の前に居る優しい笑みを浮かべたこの人は、ずっとずっと逢いたかった…、 「……啓輔…!」 沙織はその胸に飛び込んだ。 優しく強く抱き締めるその腕は、変わらずに沙織を包み込む。 その温もりも、心音も、夢じゃないと教えてくれる。 互いに言葉にならなくて…、 暫くの間、その存在を確認するかのように、ただしっかりと抱き合う事しか出来なかった。
/736ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6924人が本棚に入れています
本棚に追加