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その通りだと思った。
自分がその事を知ったら、絶対に声だけでも、って思う。
声を聞いてしまったら、一回だけなら、バレなければ…、と気持ちが揺れていただろう。
それでは、啓輔の努力が無駄になる。
せっかく条件を出して離婚に応じてくれた奥さんの気持ちを、踏みにじる事になる。
「 姉ちゃんがどんだけ辛かったか、俺だって良く分かってるよ。
だけど、ネイルの仕事に集中して頑張る方が、姉ちゃんの為にはいいと思ったんだ。
兄貴も…、そうさせてやって欲しいって。
夢に向かって頑張る姉ちゃんが好きだから、って 」
沙織はシンクに手をついて、俯いたまま少し肩を震わせた。
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