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「 良かったな…」
そう言って、亮太は沙織の頭をツン、と指で押した。
沙織は俯いたまま小さく頷き、亮太は、へへ、と笑ってキッチンを出ると、リビングに戻ってまた啓輔に絡み出した。
「 ちょっと! 今お母さんが喋ってんだから、邪魔しないで頂戴よっ!」
光代が怒り出し、勇三はそれを見て不機嫌になり、啓輔は少し困ったような表情で笑い、亮太も大笑いする。
普段他人には愛想の悪い、飼い猫のクロ ( メス ) までもが、撫でて、と言わんばかりに、文字通りの猫なで声で啓輔にまとわりつく始末。
そんな光景を見てクスッと笑いながら、また泣けてきてしまった。
幸せで、幸せで、堪らなかった。
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