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いつが最後だったか。僕はそんな事を思った。
「ここって?」
友紀はこの公園を知らないのか、僕が言った言葉に疑問符を付けた。
「まぁ簡単に言えば、昔みんなで遊んでた所……かな?」
そんな事を言いながら周りを見る。禿げていたジャングルジムも新しく青一色に輝いて、滑り台がどうやら撤去されているらしい。
改めて見ると全く違った雰囲気になっている。それでもなぜ気付いたのかは愚問とした。
「咲久の…昔」
「あはは、そんなに難しい物でもないよ。どうやらベンチは残ってるみたいだし座らない?」
友紀は頷いて近くにあったベンチに腰掛ける。
そして、まだ慣れないでいる沈黙。
「「………………」」
やっぱり言った方が良いのかな。
いつかの駆の言葉を思い出して、沈黙の中ふとそんな事を思う。
しかし言ってしまったら道路とかに以下略な結果になりそうだ。
けどいつか言いたいし、黙ってるままじゃいけないよな…。
よし!
「あの、さ」
「何?」
また頭をぶつけたくなるぞと決心をしてグッと握りこぶしを作る。
「手繋がない?」
「何で?……それと恥ずかしい」
前と同じ返しに戸惑いながらも次の言葉を考える。…いやあるといえばあるんだけど。
「笑わない?」
「…?…………うん」
この時だけ駆にむしり取られた羞恥心が無い事を感謝しよう。
よし……よし!
「何でって言うと。」
大きく息を吸い込んだ。そして全てを吐くように、
「何処でもイチャイチャしたいから!気軽無く手繋いで、それを見た誰かに羨ましく思われたいから!もっともっと色々して何やら色々深めたいから!今まであんましそーゆうの無かったし尚更なんだ!それで…そのキ、キス……は、まだ恥ずかしいから!そして誰から見られても、嫌みな程バカップルでありたいからだぁぁぁぁぁっ!」
言ってしまった……。
って何の話だっけ?
……手じゃん!手を繋ぐ話じゃん!脱線しすぎだ自分!
あぁもう顔が暑い!羞恥心無いって言ったけどそれで押しつぶされそうだよ!
「…………………」
そして友紀はと言うと、目を見開いて黙っている。
それに合わせるように、虫や車が通り過ぎる音までも無くなり、2人の空間ができた。
……そして
「……っ!あはは!あははははははっ!」
普段の声よりも少し大きめ、控えめな笑い声が公園に響いた。
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