僕の彼女はクーデレで。私の彼氏は変態さん。

7/9
前へ
/11ページ
次へ
いつが最後だったか。僕はそんな事を思った。 「ここって?」 友紀はこの公園を知らないのか、僕が言った言葉に疑問符を付けた。 「まぁ簡単に言えば、昔みんなで遊んでた所……かな?」 そんな事を言いながら周りを見る。禿げていたジャングルジムも新しく青一色に輝いて、滑り台がどうやら撤去されているらしい。 改めて見ると全く違った雰囲気になっている。それでもなぜ気付いたのかは愚問とした。 「咲久の…昔」 「あはは、そんなに難しい物でもないよ。どうやらベンチは残ってるみたいだし座らない?」 友紀は頷いて近くにあったベンチに腰掛ける。 そして、まだ慣れないでいる沈黙。 「「………………」」 やっぱり言った方が良いのかな。 いつかの駆の言葉を思い出して、沈黙の中ふとそんな事を思う。 しかし言ってしまったら道路とかに以下略な結果になりそうだ。 けどいつか言いたいし、黙ってるままじゃいけないよな…。 よし! 「あの、さ」 「何?」 また頭をぶつけたくなるぞと決心をしてグッと握りこぶしを作る。 「手繋がない?」 「何で?……それと恥ずかしい」 前と同じ返しに戸惑いながらも次の言葉を考える。…いやあるといえばあるんだけど。 「笑わない?」 「…?…………うん」 この時だけ駆にむしり取られた羞恥心が無い事を感謝しよう。 よし……よし! 「何でって言うと。」 大きく息を吸い込んだ。そして全てを吐くように、 「何処でもイチャイチャしたいから!気軽無く手繋いで、それを見た誰かに羨ましく思われたいから!もっともっと色々して何やら色々深めたいから!今まであんましそーゆうの無かったし尚更なんだ!それで…そのキ、キス……は、まだ恥ずかしいから!そして誰から見られても、嫌みな程バカップルでありたいからだぁぁぁぁぁっ!」 言ってしまった……。 って何の話だっけ? ……手じゃん!手を繋ぐ話じゃん!脱線しすぎだ自分! あぁもう顔が暑い!羞恥心無いって言ったけどそれで押しつぶされそうだよ! 「…………………」 そして友紀はと言うと、目を見開いて黙っている。 それに合わせるように、虫や車が通り過ぎる音までも無くなり、2人の空間ができた。 ……そして 「……っ!あはは!あははははははっ!」 普段の声よりも少し大きめ、控えめな笑い声が公園に響いた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加