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『新入生の皆様、この度は御入学おめでとうございます。…』
必死で勉強し、この4月から看護学校に入学が決まり、今こうして入学式を迎えている。
幼い頃から憧れていたナースに一歩近付き胸が高鳴る。
[知らない人ばっかり…]
梓(あずさ)は不安と期待が入り混じった気持ちで入学式を迎えていた。
少人数制の学校であるため、ひと学年30人とかなりシビアな状況である。そして、何よりも梓の不安を煽るもの…それは全寮制であること。
知ってる人が一人も居ない学校で、さらには全寮制。梓の心は早くも打ちのめされそうになっていた。
入学式が終わり絨毯の敷かれた廊下を列になり歩き、教室に移動すると担任教師の紹介が始まった。
「初めまして。あなた達の担任の山崎 弥生 です。 勿論ナースよ。 ナースは人の命を預かる大切なお仕事なの。気軽な気持ちでは務まらないわ。覚悟しなさい。」
まるで私たちを不安にさせ 楽しんでいる様な口調。
先生の年齢は不詳。容姿は申し分ないくらいの美貌。
[あんな綺麗な顔して…羨ましい…世の男は先生みたいな女性に憧れるんだろうなぁ。]
梓は先生に見とれ、ボーッとしながら果てしなく続く妄想をし、一人ニタニタしていた。勿論先生の話は耳に入ってくるわけも無い。
「先生の自己紹介はこれで終わり。 次はあなた達の番ね。」先生が不適な笑みを浮かべ梓を呼ぶが、梓は気付いていない。
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