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「――私のパートナーになってくれないか」
そう言った時、「彼」は非常に嫌な顔をした。それすらも椎名にとっては心地よかった。
別にマゾヒストではない。そうやって――作り物だとしても――感情を表に出す「彼」を、椎名はとても、尊敬していた。
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椎名は四宮に所属する狩人の中でもかなり古くからいる、いわゆるベテランだった。何年ぐらいいるかは自分でも数えていないため、書類を出してこなければ分からないが、少なくとも二十年は超えている、と思う。三十年かもしれない。
ともあれ、椎名の狩人暦はかなりのものだった。これだけ長いこと狩人を続けている人物は他にいないだろう。一般大多数のスポーツと同じで、狩人は体力勝負だからだ。
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