第5章

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……爺さん反応速度良すぎだろ。 今の攻撃でも一撃を当てられないとなると、このままでは爺さんを無力化させるなんて難しすぎる。 さて、どうするかな。 「……来ないならこちらから行くぞ!!」 どうやって爺さんを無力化させるかを本気で考え始めていると、痺れを切らした爺さんが刀を手に突っ込んできた。 次々と休む事なく繰り出される攻撃を剣を使い防いでいく。 少しでもいいので何とか隙を作ろうと魔法を放ってはみるが、放ったそばから全て一刀の下に切り捨てられる。 かと言って剣で攻撃しても決定的な隙は作れそうにない。 わざと一撃受けて攻撃する意思が無い事を示してみようかとも思ったが、爺さんから繰り出される攻撃は正に一撃必殺。 即座に無理だと断念した。 剣と魔法……そのどちらでも爺さんに隙を作り、そして無力化させるには足りないというのが現状。 もしかすると何か策を思いつくかもしれないと考えてはいるが、いっこうにその気配も無い。 ……これ以上考えてもジリ貧だし、とりあえず一回離れて大技ぶち込んでみるか。 爺さんの攻撃を受け流したりせずに正面から防ぎ、その衝撃に逆らわずに背後へと跳んで距離を開ける。 「……?」 爺さんは俺の突然の行動を怪しんで距離を詰めずにその場で身構える。 残念、それは失策って奴だ。 持っていた剣を逆手に持ち替え、半身になって後ろに剣を引いてかまえる。 そして先ほどとは比較にならないほどの大量の魔力を一気に刀身に込め、今から放つ技のイメージを頭の中で構築。 爺さんは刀身に魔力が込められた辺りで近づくために地面を蹴ったが……すでに遅い。 「せいっ!!」 爺さんが距離を詰めるより早く、俺は剣を振り切った。 振り抜くと同時に剣から放たれる光り輝く魔力。 その魔力は放たれてから数秒もしないうちに肥大化し、直径五メートルぐらいの光球と化して爺さんへと迫る。 だがこれは先ほど剣に込めた魔力の量と見た目に反して威力が低い。 今回はダメージ目的ではなく目晦ましが目的なので当たり前なのだが。 実際に放ってみた感じからして効果はバッチリだろう。
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