第5章

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「さて、ここからが今日の本題だ」 「本題って……ギルドの設立の事だろ?」 「ああ、この前幾つか聞くのを忘れてる事があってな」 聞く事? 書類に書かれていた事以外で何かあるのか? 「聞く事は二つ。 一つ目は何故ギルドを設立するのか、だ」 そういえばその質問は書類には無かったな。 なるほど、ここで本人の口から聞くために書類には書いていなかったのか。 嘘を言っても仕方ないし目的をはっきりと言っておこう。 「俺がギルドを作ったのは世界を救うため。 それ以上でも以下も無い」 「……二つ目だ。 お前の目指すギルドとはどのようなものか?」 俺の言った理由には触れず二つ目の質問に移る爺さん。 「俺が目指すのは最初から最後まで人が増える事はあっても減る事の無いギルドだ」 つまり加入する人はいても脱退もしくは死亡者などを出さずに目的である『世界を救う』を達成する、という意思表明。 この先何があるかはわからない。 そんな中で死者も脱退者も出さないなんて正直無理だとは思う。 だが爺さんが言ったのは『どのようなギルドを目指すか』だからこれでいい……はずだ。 「……わかった。 だがもう一つだけ聞かせてくれ。 ……世界を救うとはどういう意味だ?」 やっぱりそこを聞いてくるか。 まぁ、もしも俺が爺さんの立場だったら同じ事を聞くだろうけど。 「信じるかは爺さん次第だけど……このままだと世界は確実に滅ぶよ」 「根拠は?」 「それは言ったら面倒な事になるから言わない。 ただ何処かの国がやってる戦争が原因……らしい」 「らしいとはどういう事だ?」 「俺も詳しくわからないから。 というかそれを調べるためのこのギルドだ」 「……わかった、質問は以上だ」 ふぅ、やっと質問が終わった。 「(ねぇねぇ、何でこのお爺さんに全部話さないの?)」 と思ったら今度は横にいるヒメから質問がきた。 「(まだはっきりしない事が多過ぎるからだよ。 今そんな情報を教えると混乱させる可能性があるから駄目なんだ)」 「……相談事は帰ってからにしな。 今はやる事だけは済ませるからな」 ヒメに説明していると爺さんがそう言ってきたので話を止めて爺さんの方を向いた。
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