第6章

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爺さんにギルドの設立の許可を貰ってから三日後。 ギルド『猫の手』(現在二名)はとある洞窟で雨宿りしていた。 「むぅー……雨止まないね?」 「……そうだな」 外を見ていたヒメの言葉に町で買った地図を見ながら答える。 エスキアリルに大陸は一つしかない。 だがその分形が変わっており、漢字でいう【門】のような形になっている。 また一つに繋がっている大陸の中でも三つの区域に分けられており、左側の部分を西大陸、上側の部分を北大陸、右側を東大陸としているそうだ。 ついでに大陸に囲まれている海を内海、外側の海を外海と呼んでいるらしい。 それで今俺達がいるのは東大陸の中でも比較的南にあるテスラ国という内海に近い所に位置する国。 ギルド本部があったのはテスラ国の東側にあるステイト国の西側。 二日間歩いて今日国境を越えたところだったのだが、突然の雨という事で近くにあった洞窟で休んでいるところだ。 「カイトー……暇だよー!!」 「俺に言われてもどうしようもない。 ……暇なら魔力のコントロールの練習でもすればいいんじゃないか?」 「……わかった」 わざわざ解決策を出してやったのにヒメは不服そうだ。 俺は俺で今後のルートとかを考えないといけないから相手は出来ない。 だから一人で出来る事を紹介したんだ。 その事に不服だとしてもそれ以上は俺にもどうしようもない。 そう思いながらヒメに視線を向けると、入口の方でもの凄い暗い雰囲気を出しながらも魔力を掌の上に球状に浮かべていた。 不服そうにはしていながらも一応真面目に練習はしている。 だが暗い、雰囲気がとにかく暗い。 雨というのも相まってネガティブなオーラがこっちに流れてくる。 ……はぁ、仕方ない。 「ヒメ!! ちょっと今後のルートで相談したい事があるからこっち来てくれないか!!」 「っ!! うん、わかった!!」 先ほどまで暗い雰囲気は瞬時に消えてヒメは走ってこっちに来た。 「どこどこ?」 「えーっとなぁ……」 正直こっちに呼ぶための理由だったので特に何処かは考えていなかったが、一人で決めていたルートの確認をもう一度二人で行った。 ……このぐらいの事で満足してくれるのならこれからも少しだけつき合ってやるか。
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