第6章

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結局昨日は雨が止まずあの洞窟で一晩を過ごした。 翌日起きてみると嘘のように晴れていたので今は昨日決めたルートに沿って歩いている。 「そういえばさ、カイトは神様にどんな力貰ったの?」 のんびりと歩いていると不意にヒメがそんな事を聞いてきた。 そういえば教えてなかったな、とか思いつつヒメの質問に答える。 「俺は『情報を即座に理解し、応用できる力』・『俺が指定した物、または場所に俺が決めたルールを定める力』・『俺が提示した言葉、又はその言葉の意味を指定したものに付加する力』の三つだ」 「……もうちょっと簡単に言うと?」 「……『一回聞いた事をすぐに理解して応用する力』・『ルールを決める力』・『何かに言葉を付加する力』だ」 一個目に関してはほとんど変わっていない気がするが気にしない。 「二つ目まではわかったけど最後のってどういう意味なの?」 ヒメもヘイルと同じく『言葉の付加』がよくわからないようだ。 ……そんなにわかり辛いかな…… 「例えばこの枝を付加する対象とする」 「うんうん、それで?」 道端に落ちていた適当な枝を持ちヒメに見せながら説明を続ける。 「方法としては『枝』に『○○』を付加するって言えばいいだけなんだが……実践した方が早いな」 言葉で説明しようとしたがあまり理解してそうに見えなかったので説明を切り上げて実際に見せる。 「『枝』に『炎』を付加する」 俺がそう口にすると同時に枝が炎に包まれる。 「おぉー……何か凄いねぇ……」 とりあえず持っていたら熱いので風を操って浮かべておく。 ヒメは驚いているが、仕組みは感覚的に理解したぐらいだろう。 まぁ、別にそれで構わないのだが。 「こんな感じだな。 あとは付加を解除する時は対象を思い浮かべながら『キャンセル』と言えばこの通り」 俺が『キャンセル』と声に出した直後に枝から炎が消え去り、それを見て再び驚くヒメ。 「それで? 俺は教えたんだからヒメも当然教えてくれるんだろ?」 「……えー、どうしよっかなぁ……」 「よし、置いてくからな」 渋った瞬間に操った風に乗り、移動するスピードを上げる。 「え、いや、冗談だってば!! ちょっと待ってよぉ!!」 とか言いつつもついてくるのだから身体能力は強化してもらっているのは間違いない。 とりあえずヒメも言うつもりになったようなのでスピードを落とし、元のペースに戻した。
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