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そんな俺とあいつに差が出始めたのは中学に入って少し経った頃。
相変わらず様々な習い事でも学校の成績でも同じぐらいだったのだが、それらとは別のとある箇所で大きな違いができ始めた。
あいつは運動神経抜群、容姿も良くて性格も良いというハイスペック。
それに比べて俺は運動神経があいつと同じくらいなだけで、容姿も性格も普通の何処にでもいそうな一般人ってな感じ。
要するにあいつは異性にモテたんだ。
面識があろうと無かろうと関係無く、あいつの屈託の無い笑顔に皆してやられた。
例え俺があいつと一緒にいても次々と現れるチャレンジャー。
まぁ、そうやって挑んだ連中はあいつにあっさりと断られ、見事に玉砕してたけどな。
そんでもって良くも悪くも無垢なあいつに代わり、玉砕した奴を俺が慰める事も度々あった。
そのせいで落ち込んだ奴を慰めるのが無駄に巧くなったのだが……なんか虚しい。
異性にモテモテなあいつとまったく異性にモテない俺。
色々と比べられてもそこだけはあいつに適わなかった。
かと言ってあいつとの仲が悪くなる事もなく、そのまま無事中学を卒業。
なんだかんだ言って高校も二人で同じ所へと通い、毎日を楽しみながら過ごしているうちにあっという間に三年の月日が流れた。
そして卒業まであと一月となったあの日。
いつもと同じように学校から帰り。
互いの家の前で『また明日』と言って別れた直後。
あいつは俺の目の前で『消えた』。
突如あいつの足下に現れた謎の『魔法陣』と共に……。
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