序章

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翌日。 部屋を出る際に忘れ物が無いかもう一度荷物を確認。 ……大丈夫だな、必要な物は全部カバンに入れてある。 と言っても必要な物は幾つかの書類と筆記用具だけなのだが。 そんな俺の現在の服装は大学から事前に通達されていた通りのスーツ。 クリーニングしたばかりという事でスーツにシワは無く、当然何処にも汚れも無い。 ……よし、これで準備は出来た。 時間的にもちょうど良さそうだし、そろそろ家を出るとしよう。 そんなわけで荷物の入ったカバンを持ち、新しいスタートを切るために部屋を出て玄関へと向かう。 「それじゃ、行って来ます」 その際リビングにいた両親に挨拶を告げるのも忘れない。 背後から返ってくる両親からの言葉に適当に返事を返しつつ、スーツと同じように事前に準備していた靴を履いて玄関の扉を開く。 その先にはいつもと同じ風景があるはずだった。 そう、あるはず『だった』んだ。 扉を開けた俺の視界に入って来たのはいつもの景色+足下に輝く『ある物』。 一ヶ月前に詩音が目の前で消えた際にもあった『魔法陣』。 それが俺の足下にも輝いていた。
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