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彼の身体は決して温かくはなく、
雨の臭いがした。
どうして彼を抱きしめたのかは分からない。
離れようという思いは、
頭に一度も浮かんでは来なかったと思う。
それにもう、離れることなど出来るはずもなかったのだ。
何故なら、
彼の腕も私を包んでいたから。
それからしばらく私たちは黙ったままでいた。
寒いからなのか、
それ以外の理由なのか。
私は震える彼の肩を
ただただ抱きしめることしかしなかった。
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