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「土方はん、近藤はんが参られました。」
女将がそう言って部屋の襖を開ける。
「こちらへ御通しするよう。」
そう言った後部屋を後にしようとする女将を呼び止めて、
「付き人は別に待たせるように。」
そう付け加えた。
女将が去った後しばらくして近藤が一人で部屋にやってきた。
「俺を一人で呼ぶとは珍しいなトシ、たまには二人で飲みたくなったか。」
そう言って近藤は笑いながら土方の前に座った。
そんな近藤を前に土方は顔色ひとつ変えず酒を口にはこんだ。
黙って酒を飲み続ける土方を前につまらなそうに近藤が酒を手に取ったときだった。今まで黙って酒を飲んでいた土方が静かに口を開いた。
「近藤さん、今から俺が話すことを黙って聞いてくれ。」
手を止めた近藤を前に土方は話続けた。
「あんたには納得出来ない話だ、だが俺は決めた。あんたの言い分は聞かない。新選組の為だと思って受け入れてくれ。」
「なんの事だトシ、話が全然わからんぞ。」
近藤は困惑した表情で問い掛けた。
「今ある十の組とは別にもう一つ隊を作る。」
「銃を持って暗殺を行なう十一番隊を作る。」
黙って聞いていた近藤が声をあげようとしたが土方はそれを抑えるように少し大きな声で続けた。
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