近藤と土方

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「新選組は逃げることも負けることも許されないんだ。」 そう言って土方は近藤に鋭い目を向けた。 その迫力に近藤が開こうとしていた口を閉じるのを確認して土方は続けた。 「先の池田屋の一件、そして今回の御所襲撃。この戦いで新選組の名は一気に世に知れ渡った。一歩も退かず戦い勝利する俺たち新選組は今倒幕派が一番怖れる最強の剣客集団と言ってもいい。」 近藤は誇らしげに黙って腕を組んだ。 「だからなおさら今新しい隊が必要なんだ。」 土方は続けた。 「俺が以前から気になっていたことだが、この戦いで確信に変わった。」 「刀の時代は終わる。」 そうはっきりと言う土方に近藤は驚いた。 剣を持つことに人一番誇りをもつ土方が、自ら刀の終わりをその口から出したのだ。
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