ミック・ルーファス

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上田屋討ち入りを明日に控え私は長屋で3丁の銃の手入れをしていた。 ひとつは砲身の長い狙撃用の物、弾は一発打ち切りのものだ。できればこの一発で仕事は終わらせたいが…それは四番隊の頑張り次第か。 もう2丁は6連式リボルバー、乱戦‥いや、逃走の際に使うと言ったほうが正しいか。あまり使いたくないものだ。弾もそうは手に入らないし…。 念入りに明日の準備をしていたら突然長屋の戸が開いた。ミックだ。 気配で分かってはいたが一言もなしに入ることに少し嫌な気分になった私は 「声ぐらいかけろ。撃つところだったぞ…」 そう言って向けていた銃を下ろした。 「わかってたんだろ。侍はどんとかまえようぜ❗」 そう笑いながら言ってミックは私の前に座った。 「侍は」 が口癖のこのオランダ人、やはり初めてあったのは3ヵ月前のこと。
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