自然の産物

4/13
前へ
/62ページ
次へ
 荒野は続く。変わり映えのない風景に内心うんざり来ている。ただそれでも歩き続けるのは、あの声の下に自分の居場所を感じたからだろう。  黒い空は続く。雨の降りそうな曇天の空とは違う黒。そんな空は無言で僕の歩みを止めようと、明るい光を勇気をくれはしない。ただそれでも歩き続けるのは、あの声に優しい光を感じたからだろう。  さらに歩き続けていると荒野のずっとずっと奥に、光粒が一つこの世界とは不釣り合いに輝いていた。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加