自然の産物

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 見つけた……  思い切り荒野を蹴り上げる。黄土色の土埃が僕の跡を辿るように舞う。  乾いた大地は幾分滑りやすく、何度も何度も僕の足を奪う。その度に擦り傷を拵えては、また走りだす。体中は痛むのに、光粒に近づく度に体が軽くなって行く気がした。 「…………ッ!」  もう少しのところで、一番派手に足を滑らし、荒野に音を立て転がる。  口の中には血の味が広がる。泣きたいくらいに痛むはずなのに、体は勝手に起き上がる。血を吐き、土を掃く。  光粒は目と鼻の先。ゆっくりと足を踏み出していく。
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