自然の産物

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 第一歩。  光粒から広がる光の波紋が、優しい誰かに抱きしめられているように僕を包み込んだ。そして、痛みがスッと抜けていく。  第二歩。  その抱擁が余りにも気持ちよくて、涙が止め処もなく溢れ出してくる。 『まだ泣かないの。わかった? あと一歩だから』  そんな僕を見かねてか、優しい音色が僕の鼓膜を揺らした。小さく相槌を打ってみせたものの、涙は止まらない。
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