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『そうよ。あなたの母親。ここは胎盤の中なの』
「……お、母さん?」
僕はたまらずお母さんに抱きついた。そのとき、優しい光の掌が背中をさすってくれたのが、お母さんだと僕にさらに印象づけた。
「ならなんで胎盤がこんなに寂しいところなの? 僕が生まれてくるところもこんなところなの? こんな花一輪の世界にいなけゃいけないの?」
抱きついた腕を解きながら、純粋な不安を投げかける。
『ふふっ! 質問の多い子。今から言うことをよく聞きなさい』
そう言うと、お母さんは頭を撫でてくれた。それはとても暖かくて、落ちついて話が聞けるようになだめているようだった。
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