自然の産物

9/13
前へ
/62ページ
次へ
『そうよ。あなたの母親。ここは胎盤の中なの』 「……お、母さん?」  僕はたまらずお母さんに抱きついた。そのとき、優しい光の掌が背中をさすってくれたのが、お母さんだと僕にさらに印象づけた。 「ならなんで胎盤がこんなに寂しいところなの? 僕が生まれてくるところもこんなところなの? こんな花一輪の世界にいなけゃいけないの?」  抱きついた腕を解きながら、純粋な不安を投げかける。 『ふふっ! 質問の多い子。今から言うことをよく聞きなさい』  そう言うと、お母さんは頭を撫でてくれた。それはとても暖かくて、落ちついて話が聞けるようになだめているようだった。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加