パティシエになる、その時。

10/18
前へ
/18ページ
次へ
全員が講堂に着き、用意された椅子へと座る。生徒のざわつきを先生達が抑えると、校長が現れた。 「3年間、皆よく頑張った。9組、1クラス100名。900人の生徒達よ。クラス毎に1日ずつ卒業試験を行ってきた。この中で卒業できるスイーツを作れたのは、900人中47人だけだ。」 どきん、と大きく胸が鳴る。あたりもざわつき、皆動揺を隠せない。900人中47人。そんな少ない合格者の中に、自分は入っているのだろうか。各々、まだ発表もされていないのに泣き出す者や、緊張のあまり胃痛を訴える者もいた。 「成績順に合格者の名前を呼ぶ。呼ばれた者はこちらに来て証書を受け取り、席に戻り起立している事。では発表する。…シュークリーム組、サイモン!」 成績がいつもトップだったサイモンが呼ばれた。拍手が起こり、彼は当然の結果と言わんばかりに堂々と証書を受け取った。 「ブルーベリータルト組、紫織!」 紫織ちゃんは隣のクラスで、いつもクラスでは最下位だった。どれだけ頑張ったのだろう、泣きながら証書を受け取りに行き、友人からはより大きな拍手が贈られた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加